グランドハンドリング業務の効率化を実現

空港ドーリー管理をIoTで可視化：グランドハンドリング業務の捜索時間を半分にするHoopoソリューション

近年、空港のグランドハンドリング業界※1では人手不足が深刻化しており、現場の作業効率化と負荷軽減が急務となっています。 Hoopoソリューションは、空港で使われる航空コンテナ運搬用台車（ドーリー）にIoT機器を取り付けることで、「位置」と「コンテナ積載有無」を WEB管理画面上でリアルタイムに可視化する空港ドーリー動態管理ソリューションです。これにより、これまで目視で探していた空ドーリーの捜索時間を大幅に削減し、 多くの空港で業務効率化に貢献しています。

※1 航空機への手荷物・貨物・郵便物の搭降載や搬送、旅客手荷物の仕分けをはじめとする航空輸送に必要な、地上でのさまざまな取り扱い業務

本記事では、Hoopoソリューションの導入により、グランドハンドリング業務の効率化にどのような効果が期待できるかを解説します。

大規模空港のグランドハンドリング現場で直面しているドーリー管理の課題

空港での貨物運搬業務では、ドーリーの運用効率が作業時間や人員配置、コストに直結します。特に大規模空港の現場スタッフにとって、 以下のような課題が大きな負担となっています。

1. 空港ドーリー所在確認にかかる時間とグランドハンドリング現場の人的負担

従来、ドーリーの所在を確認する手段がなく、大規模空港で作業する現場スタッフは、必要なタイプの空ドーリーを探すのに 1便あたり約30分かかることもありました。

年間の便数を考えると、捜索だけで膨大な作業時間が発生しており、炎天下などの厳しい屋外環境での作業は、 現場スタッフの負担をさらに増大させています。

2. ドーリー配置・稼働状況が把握できず空港全体の運用が最適化できない

ドーリーの配置や稼働状況を把握できていないため、過剰に配置して購入・保守コストが増えることや、一方で、 配備不足による作業遅延が頻発していました。

3. 複数社が混在する空港で自社ドーリーを探す負担

大規模空港では複数のグランドハンドリング会社が同じ動線で作業しているため、他社のドーリーに紛れた自社のドーリーを 目視で探すことが、現場スタッフにとって大きな負担となっていました。

Hoopoによる空港ドーリー動態管理ソリューションの特徴

Hoopoソリューションは、前述のような大規模空港のグランドハンドリング現場におけるドーリー管理の課題を解決するために開発された、 空港ドーリー動態管理ソリューションです。ドーリーにIoT機器（Hoopoトラッカー）を取り付けることで、「位置」と「コンテナ積載有無」を専用のWEB管理画面 （Hoopoダッシュボード）で見える化できます。主な特徴は以下の通りです。

空港ドーリーの位置情報をリアルタイムに把握

HoopoトラッカーはGPSを搭載しており、固有IDをHoopoダッシュボード上でドーリー管理番号やタイプと紐づけることで、 リアルタイムにドーリーの位置を確認できます。コンテナを積んだ状態でも、運用に支障のない精度で位置測位が可能です。

また、GPSが取得できない上屋内に入った場合でも、施設に設置されているWi-Fiのアクセスポイントを検知し、 どの上屋内にあるのかを把握できます。そのため、屋内外を問わずドーリーの追跡が可能です。

ドーリーのコンテナ積載状態を自動検知

Hoopoトラッカーには積載検知センサーが搭載されており、ドーリーにコンテナが積まれているかどうかを判別できます。 そのため、現場スタッフは空ドーリーの所在をHoopoダッシュボードで簡単に検索できます。

現場負担を抑えた長寿命バッテリー運用が可能

Hoopoトラッカーは単3リチウム乾電池6本で駆動し、年1回のメンテナンス時に電池を交換するだけで運用可能です。 現場スタッフの負担も最小限に抑えられます。

既存のグランドハンドリング業務システムとの連携が可能

Hoopoソリューションは、Hoopo APIと呼ばれるRESTful APIを提供しています。これにより、別の業務管理システムと連携することが可能です。

システム統合することで、現場で必要なデータの一元管理や自動化が実現でき、現場の運用効率をさらに向上できます。

Hoopoドーリー管理ソリューションの費用対効果の可能性

ここでは、Hoopoソリューションを活用し、成田空港と同規模の空港でドーリー2,000台を管理した場合の費用対効果の可能性をご紹介します。 本試算は、Amazon Web Services ブログに掲載されている「成田空港におけるドーリー動態管理システム『DOLYS』をAWSに構築」記事を参考に、 当社で概算したものです。

実際の導入効果は空港規模や運用方法により異なります。以下を前提として試算しています。

• 成田空港で3,040台のドーリーを運用している事例の年間便数は、推定約56,600便
• 同規模の空港で2,000台のドーリーを運用した場合、ドーリー台数比に基づき、年間便数は約37,200便（1日約102便）と概算して算出

ドーリー捜索時間の大幅削減

Hoopo導入により、1便あたりのドーリー捜索時間は以下のように短縮できると期待できます。

削減時間：1便あたり15分（0.25時間）

年間便数で換算すると：

年間37,200便 × 0.25時間 ＝ 年間約9,300時間の削減

ドーリー捜索時間の大幅削減により、現場スタッフの負担軽減につながります。

ドーリー稼働率の把握によるコスト削減

Hoopoのデータ可視化による稼働率向上により、過剰に配備されているドーリー台数の削減が期待できます。

• 保有台数削減※2：約37台 / 年（年間約7％減）
• 購入費・点検費用削減※2：約4,720万円 / 年

燃料消費・CO2排出量の削減

空ドーリーを捜索する移動距離が短くなるため、牽引車の燃料消費やCO2排出量削減が期待できます。

• 燃料削減※2：約43,600ℓ / 年（約500万円相当）
• CO2削減※2：約113t / 年

※2 算出した数値は、「成田空港におけるドーリー動態管理システム『DOLYS』をAWSに構築」記事に掲載されている 成田空港3,040台の事例を台数比で換算した概算値です。実際の効果は空港規模や運用方法により異なります。

Hoopoによる空港ドーリー管理とグランドハンドリング効率化のまとめ

本記事では、Hoopoの空港ドーリー管理ソリューションを活用し、成田空港と同規模の空港でドーリー2,000台を管理した場合の効果について記載しました。

ドーリーの稼働状況がリアルタイムに把握できることで、現場スタッフの負担軽減だけではなく、以下のような複数の効果が期待されます。

• 捜索時間の削減：年間約9,300時間
• ドーリー保有台数削減：約37台 / 年
• ドーリー点検費用削減：約4,720万円 / 年
• 燃料・CO2削減：43,600L / 113t

また、Hoopo APIを活用し、別の業務管理システムと連携すれば、ドーリーの使用状況や稼働パターンを分析でき、 運用体制やスケジュール・人員配置の最適化に役立ちます。

これにより、Hoopoソリューションは、グランドハンドリング業務プロセスの効率化に大きく貢献できると期待されています。