平素より格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
2023年10月7日にテロ組織ハマスにより、イスラエル市民へ大規模な奇襲攻撃・ガザ地区への拉致が起こりました。皆さまから多くのお見舞いのお言葉、ご心配の声を頂いております。今回の事態を受け、弊社代表取締役社長トッド・ワルザーへ現在のイスラエル情勢についてインタビューを行いました。

Q:ユダヤ教の祝日である10月7日にテロ組織ハマスにより、イスラエル南部へ大規模な奇襲攻撃がありました。その後のイスラエルの対応など、激動の時間が続いています。イスラエルにいるご家族はご無事ですか?

幸い、私の家族は全員無事です。しかし、イスラエルは国土が日本の四国ほどの小さな国であり、横のつながりが強いので、他人でも2~3人辿れば知り合いである事が非常に多いです。義理の妹の仕事仲間は10月7日のハマスからのテロ攻撃で殺されました。私の友人の年老いた叔父と叔母は、ガザに拉致された人質の一人です。

―非常に痛ましい事態です。1人でも多くの人質の方が無事に戻って来ることをお祈り申し上げます。

Q:イスラエル経済は大丈夫ですか?

イスラエルの国内経済は確かに打撃を受けました。 観光業は停止し、レストランや娯楽施設はガランとしています。収穫期に来たタイなどの外国人労働者は今回のイスラエルへのテロ攻撃を受け帰国したため、農業は打撃を受けています。

Q:政府はどのように対応しましたか?

政府は90億シェケル(3400億円)の余剰予算を組み、国境地帯(危険区域)から移転した家族や中小企業などを支援しています。

Q:ハイテク産業に影響はありましたか?

興味深い質問ですね。まず、イスラエルの歴史は危機の連続だということを理解する必要があります。イスラエル人は非常事態に長けており、危機の中でも何度も成功を収めています。
現にハイテク産業はうまくいっており、イスラエル経済をリードしています。40歳以下の男性のほとんどが軍事予備役に動員されたため、企業は労働力の10~15%が不足してしまいましたが、残ったスタッフは事業継続のために懸命に働いています。最近のイスラエルのスローガンは、何があっても… “(“No Matter What …”です。

Q: イスラエルはシリコンバレー・ニューヨークに次ぐ世界第3位のベンチャー区域です。ベンチャーへの投資は止まりましたか?

いいえ。確かに経済関係者が状況を判断する間、2週間ほど一時停止していましたが、再び持ち直しています。最近、多国籍のハイテク企業がイスラエルのベンチャー企業のM&Aを発表し、その額は4億ドルと6億ドルとも噂されていましたが、さらに倍の12億ドルの取引が完了間近と噂されています。

Q: ベンチャーへの投資が活発なのはなぜでしょうか?

下のグラフはイスラエルのハイテク産業への投資のサイクルを示しています。これを見ると、安全保障上の危機が発生すると、投資は数カ月間落ち込みますが、その後は通常に戻り、上昇を続けていることがわかります。投資家は、このような脅威は短期的なもので、長期的なものではないことを理解し、脅威をあまり気にしないようになりました。
※グラフに見られるような深い下落サイクルは、世界的な景気後退や世界的なハイテク危機と一致しています。

実際、現在の状況では、安価なバリエーションで取引ができることに気づいた投資家もいます。例:https://www.ourcrowd.com/companies/israel-resilience-fund

―日本も東日本大震災の後、経済は一旦急落しましたが、なんとか持ちこたえました。
日本は常に災害のリスクがありますが、災害対策の体制が整っているので、東日本のような未曾有の大災害があっても混乱は長く続きません。その点はイスラエルと似ている所だと思います。

Q: iLand6が取り扱う製品供給に影響はありますか?

どのサプライヤーからも納期の遅れは出ていません。
影響といってもiLand6とイスラエルのベンダーとのオンライン・ミーティングが、テロ発生の事態のために1週間延期されただけです。
FedExやDHLのような物流会社は通常通りイスラエルの貨物を運んでいます。多くの外資系航空会社がフライトを一時的に停止し、貨物に影響が出ましたが、イスラエルの国営航空会社エル・アルは特別貨物便を増便して対応しています。

Q: iLand6 側では他に影響はありますか?

我々は今年、日本の安全保障と防衛関係者の増大するニーズに応えるため、新たにHLS ビジネス部門を設立しました。 我々は武器を供給するのではなく、日本の HLS 市場に向け、通信と防衛のソリューションを提供いたします。
短期的には、イスラエルのHLSベンダーは国(イスラエル)の防衛・作戦への自社製品の供給で忙しいでしょう。ただ、中期的にわれわれが顧客に提供できる新しい製品・ソリューションもあります。 その一例として、Edgybeesという新興企業が、リアルタイムの画像を使って地形の正確な位置を補正・更新するソフトウェアを提供しています。ガザでは、イスラエル国防軍が民間人の被害を避けながらテロリストの拠点を攻撃するために使用しています。 日本では、災害時の救助作戦に応用できると考えております。

Q: イスラエルの人々が最近感じていることを、どのような言葉で表現しますか?

「衝撃」「団結」「決意」です。

Q: 在日イスラエル人として、個人的に今の日本をどのように感じていますか?

日本政府がイスラエルの困難な状況を理解し、支援してくれていることに感謝しています。また、日本の皆さまの温かい気持ちにも感謝しています。 先日、日比谷公園から大手町までイスラエルを支援するデモ行進に参加しました。 参加者は1,000人で、約100人がイスラエル人、残りの900人が日本人サポーターでした。

Q: 今後は何が起こると思いますか?

イスラエル人、外国人を含む人質が戻り、ガザからハマスが排除され、ガザに住む民間人の安全が確保されて穏やかな時間が戻ることを心から祈ります。
バイデン大統領が言いました。 “テロ組織ハマスがイスラエル人を虐殺し、虐待し、残虐な行為をする恣意的行動を維持出来なくなった時、作戦は終了するだろう”。
10月7日のハマスからの攻撃の直前、サウジアラビアとイスラエルは、米国が調整する和平条約について交渉していました。ハマスが和平に反対していることも、彼らがイスラエルを攻撃した大きな理由のひとつです。私は個人的に、戦闘が収まった後、イスラエルとサウジアラビアはかなり早い時期に交渉に戻ると考えています。そうすれば、新しい中東…より平和で豊かな中東の土台を築くことができると思っております。